“方言マンガ探訪”の第一回にご登場いただくのは、
人情味あふれるストーリーと独特の作風が人気の郷田マモラ先生。
法医学をテーマに扱った漫画『きらきらひかる』や『MAKOTO』、
また現在連載中の『モリのアサガオ』など、
郷田先生が描かれる作品のほとんどは、
大阪が舞台になっていて、登場人物のセリフは関西弁です。
郷田先生は、大阪や関西弁にどんなこだわりを
持ってらっしゃるのでしょうか?
仕事場におじゃまして、伺ってきました。
お人柄を感じさせるおだやかな関西弁のイントネーションで
お答えくださっています。(お聞かせできないのが残念!)
ベリー●郷田先生のご出身地はどちらですか?
郷田先生●出身は、三重県伊勢市で、“伊勢弁”と言われる方言を使う地域です。大阪では学生時代を過ごしました。
ベリー●では、関西弁は、学生時代に馴染まれたのですね?
郷田先生●子どもの頃からテレビを通じて関西弁は入ってきてましたね。大阪を目指した理由も、テレビで見ていた“吉本新喜劇”が大好きだったから。もともとは漫画家になるという気持ちもなくてね、吉本新喜劇の脚本をやってみたいと思ってたんです。毎日のように“なんばグランド花月”に通ったりしてたんですけど、大阪には自分より面白い人間が多くて、あきらめました(笑)。
ベリー●三重から大阪、そして現在は東京にお住まいですが、それぞれ町の雰囲気も違いますね。
郷田先生●僕は、大阪の下町の雰囲気が好きなんです。自分がいちばん活動的になれるのは大阪ですね。作品に出てくる架空の町“根古田区”にも、下町の風景がよく出てきます。今後の作品でも、できれば舞台を変えずに続けて、町に病院とか学校とか、いま描いている拘置所とかを配置し、根古田区の地図を作っていきたいですね。
ベリー●大阪の町を舞台にし、作品中ではずっと関西弁を使われてますよね。作品づくりに関西弁は欠かせない要素ですか?
郷田先生●はじめは標準語でも書いていたんですけどね、どうも何かしっくりこないというのがあって。どうせなら、自分が親しんできた関西弁で書いたほうが、活き活きしたセリフが出てくるんじゃないだろうかと。それから関西弁を使うようになりましたね。おどろおどろしいテーマの話も、関西弁ののんびりした雰囲気があるので、どぎつくならないという効果もあるみたいです。
ベリー●なるほど。関西弁は、作品の雰囲気作りに欠かせない要素ですね。
郷田先生●ただ、漫画はしゃべり言葉じゃなくて、活字になるので、実際には関西弁を標準語に近い言葉にわかりやすく言い換えているところもあるんです。関西の友人に読ませると、“柔らかい関西弁”と言われます。
ベリー●東京に出てきてからも、ずっと関西弁を使われているんですね。
郷田先生●東京は、地方から出てきた人たちで構成される町なんで、方言を恥ずかしがる必要はないと思います。方言を直す人もいるけど、僕は直さないタイプ、というか“東京弁がしゃべれないタイプ”ですね(笑)。
言葉には文化があるので、これから東京に出てくる人も、誇りを持って、恥ずかしがらずに自分の方言を出してほしいと思います。
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郷田マモラ(ごうだ・まもら)
1993年『虎の子がゆく!』でモーニング・ちばてつや賞一般部門の大賞を受賞。
代表作に『きらきらひかる』『MAKOTO』『幸福な人生』『人間やねん』『セナのまわり道』などがある。『きらきらひかる』は1998年にフジテレビ系にてドラマ化。
現在、漫画アクションにて『モリのアサガオ』を好評連載中。さらに原作作品を準備中で、初の恋愛モノに挑戦予定!

モリのアサガオ 1〜3巻 (双葉社刊)
新人刑務官と死刑囚の魂の交流を描く作品。主人公の及川直樹を通して、死刑制度の是非について考えさせられます。

主人公の新人刑務官 及川直樹。死刑をめぐる問題で苦悩する姿が描かれています。ほとんどの登場人物は、関西弁で会話しています。
(C)郷田マモラ 双葉社
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