方言マンガ探訪 目次へ 第四回 福島弁
方言を使ったら新しいキャラクターが作れたんですよ −鈴木央先生

荒川静香選手の金メダル獲得で、今注目のフィギュアスケート。
そのフィギュアのなんたるかも知らない田舎の
ヤンキー中坊・北里吹雪がフィギュアと運命的な出会いを果たし、
情熱を傾けていく『ブリザードアクセル』。
そして金髪碧眼の小学三年生、ガウェイン・七海がゴルフと出会い、
世界一の飛ばし屋を目指す『ライジングインパクト』。
福島弁をしゃべる元気いっぱいの二人の少年の活躍を見ていると、
こちらの気分まで明るくなってきます。
そんな魅力的な二人の主人公の生みの親、
作者の鈴木先生にお話を伺いました。

ベリー鈴木先生のご出身も吹雪、ガウェインと同じ福島なんですよね?
鈴木先生そうです。福島県の中通りにある、福島の中ではあまり方言がきつくないところになります。
ベリー主人公に福島弁をしゃべらそうと思ったのには何か理由があるのですか?
鈴木先生マンガの主人公ってたいがい、いわゆる標準語ですよね。でも標準語のキャラクターって、僕の中では割といい子になってしまうんです。どうにかしてもう少し地を出せないかなと思っていたときに、ちょっと方言を使ってみたら新しいキャラクターが作れたんですよ。標準語ってきれいでスマートな言葉なので、泥臭いイメージがないんですね。田舎のこどもが出す特有の雰囲気とかは方言でしか出せないような気がします。
ベリー主人公に福島弁をしゃべらせることについて、出版社側から何か言われたりはしなかったんですか?
鈴木先生最初はけっこう反対されましたね。『ライジングインパクト』のときは、そもそも外人が主人公というのもどうかと。名前も覚えにくいぞと。そこにさらに分かりにくい言葉なわけですから。ただ、逆にインパクトがあるんじゃないですかという感じで強引に始めたんです。
ベリー方言を使われていることに対しての読者の方からの反応はどうですか?
鈴木先生けっこうありますね。こういう言い方はしないんじゃないかとか、もっとなまってますよとか。僕の住んでいた辺りではあのくらいなんですが。もともとマンガは全国の人間が読めるように考えなくてはならないので、完璧に方言にしてしまうわけにもいかないんですよね。すごくかっこいいことを言うときに、下に注釈が付いちゃうとテンションが下がっちゃうじゃないですか。
ベリーどこまで方言を使うかを決めるのは難しそうですね。
鈴木先生『ライジングインパクト』のときは、担当の方が同じ東北出身だったんです。今回『ブリザードアクセル』の担当の方は東京出身なので、打ち合わせの段階ですでに「分かりません」となっちゃうことがありますね。そのため、『ライジングインパクト』のときと比べると、『ブリザードアクセル』はさらに標準語に近くなっています。特に吹雪が東京に出てきてからは、かっこよくしゃべって、まじめなときは標準語で、感情が激したときや、地が出るというか素になったときに福島弁が出るくらいの感じですか。
ベリー『ブリザードアクセル』はちょうど今盛り上がっているフィギュアスケートが題材ですよね。
鈴木先生読み切りを描いた2年くらい前には一切ブームとかはなかったんですけどね。最初は担当さんに「格闘技かファンタジーを描いて持って行きます」と言ってたんですよ。で、できあがってみたら「なんですかこれ?」「フィギュアです」って感じで。すごいイヤな目で見られたんですけど。読んでみたらおもしろいということになって、今も続いているわけです。
ベリーしかも主人公は福島弁。
鈴木先生フィギュアはマイナースポーツですからね。今でこそ選手の名前は有名になっていますが、ルールとかはみんなが知っているというものではないじゃないですか。これがサッカーとか野球だったら、主人公はうまいという状況から入っても違和感はないでしょうが、フィギュアは分からない。読者が分からないなら、主人公も分からない状態から入って、一から覚えていかせないといけないだろうと。そうなると、なんにも知らない田舎の少年がフィギュアに出会って、広い世界に出て行くというのがいいんじゃないかと思ったわけです。
ベリー次に別の作品を描くときにも福島弁を使われますか?
鈴木先生やっぱり入れちゃいますよね。せっかくその言葉が分かるんだったら、使って損はないだろうし。別にトレードマークにしようと思っているわけではないんですが。あまり使う人もいないので、いいかなと思っています。

鈴木央先生
鈴木央(すずき・なかば)
福島県出身。高校卒業後に上京。1994年に『Revenge』で集英社ホップ☆ステップ賞の佳作を受賞。代表作に『ライジングインパクト』『Ultra Red』『僕と君の間に』(集英社)がある。現在、小学館週刊少年サンデーにて、『ブリザードアクセル』を好評連載中。
[公式ブログ]鈴木央のだらだらブログ

『ブリザードアクセル』書影
『ブリザードアクセル』1〜4巻
(小学館刊)

優秀すぎる兄たちを持つせいで、小さい頃からずっと家族から見てもらえなかった少年・北里吹雪がフィギュアスケートと出会い、生まれて初めて世間からの注目を浴びることに。そんな吹雪がオリンピックを目指してがんばります。
『ブリザードアクセル』より

何事も諦めない吹雪の並外れた情熱に、友達や周りの選手たちもどんどん引き込まれていきます。
(c)鈴木央/小学館 週刊少年サンデー連載中
魚戸先生執筆中
『ブリザードアクセル』をご執筆中。鈴木先生は、奥様と二人だけで描かれているそうです。アシスタントの方がいると、気をつかってしまってだめなのだとか。
<方言マンガ探訪INDEXへ
JustSystems Corporation  ・コピーライト等に関する事項プライバシーポリシー ほべりぐトップへ ジャストシステム