方言大学 ここは講師をお招きして方言を解説してもらう専門チャンネル。
ちょっと堅い、けれど、ためになる講座を中心にお送りします。
公開講座「方言みーつけたー生活の中の方言を探るー」


テーマ

第五回:「牛肉」と「豚肉」〜肉じゃがの肉は牛? 豚?

●あなたのご家庭では、肉じゃがに何の肉を使いますか。関西では牛、関東では豚と相場が決まっていると何かの本に書かれていましたが、本当なのでしょうか。これは肉じゃがに限らず、カレーなどの場合にも適用されるそうで、ハウス食品の調査(平成8年)によれば、大阪では80%以上の家庭で牛肉がカレーに使われるのに、東京では約30%しか牛肉は使われず、代わりに45%近くの家庭で豚肉が使われているということです。

●そういえば、豚肉の入ったまんじゅう(中華まん)のことを関西では豚まんと言い、関東では肉まんと呼ぶのも、関西で肉といえば牛肉を意味し、関東では豚肉を意味するという原則から来ているのでしょうか。「肉を買ってきて」と頼まれれば、当然のように牛肉を買ってくる…。それは私が関西人だからなのでしょうか。いや、関西人だって、豚肉を買ってくる人があるかもしれませんね。いったいこの傾向は、どのような広がりを見せるのでしょうか。それとも、かなりの個人差(家庭差)が見られるのでしょうか。非常に興味のあるところです。

●そこで、今回の調査は、この肉について。「あなたのご家庭の肉じゃがの肉は牛? 豚?」という質問にご回答ください。あわせて、あなたにとって「肉と言えば○○」−−という原則は成り立つのでしょうか。是非、お教えください。







先生のみつけた


調査結果を見る
  ●関西6府県だけの統計をとってみると、牛:豚=109:2と牛肉の圧勝で、この地域は「牛肉の入っていない肉じゃがは、肉じゃがではない」(大阪府)という意見に代表されるように、「牛肉の天下」と言えましょう。

●全国統計でも、牛:豚=71%:21%と牛肉の優勢は変わりません。ただ、東日本には、「牛肉の肉じゃがが存在することすら知りませんでした」(宮城県)といった声が多いのも事実です。そこで、試みに、第1回目で紹介した糸魚川−浜名湖ラインで区切って統計しなおしてみました。結果は、ラインの東側では牛:豚=38%:62%、西側では牛:豚=88%:12%と、かなりの東西差が見られることが分かりました。

●中には、「北海道ではスキヤキも豚肉」「ここ(福島県)でははすき焼きもブタです」などといった回答も寄せられており、東と西で「豚肉文化」「牛肉文化」の違いが、数字以上にあるように思われます。
 




先生紹介
黒崎良昭 - くろさきよしあき
 園田学園女子大学 国際文化学部、助教授。「日本語学」「方言学」を専攻し、
日本語のコミュニケーションの諸相などを研究。
『全国お国ことば辞典』(三省堂)など方言に関係した書籍に多数、関わる。

戻る
JustSystems Corporation  ・コピーライト等に関する事項プライバシーポリシー ジャストシステム